中堅統合失調症当事者が看護科学生の質問に本気で答える vol.3「幻聴が酷くてパニックをおこしちゃったりすることはありますか?対処は?」

去年まで計5回某大学で統合失調症の当事者として講義をしてきました。

最初は当事者としての辛さを淡々とぶつけるような講義でしたが、徐々に客観的な視点や分析が入り、今では統合失調症の概要から発病体験、辛さやリカバリー論に至るまでのオールインワンの講義になりました。

それでもまだまだ改善点が見つかるばかりですが、大枠が完成したと思っています。

講義では最後に質問を募集しました。時間がなくすべて答えることができなかったため、こちらで回答していこうという試みになります。

※質問は事前にこのような形で利用しますと許可を取っているものです。

【質問】家の外に出て、また1人ではない場合に、幻聴が酷くてパニックをおこしちゃったりすることはありますか?またそのようなときはどう対処されていますか?

パニックの経験と、その対処ですね。

正直パニックというものが、どのような体験なのか、
僕には正確に分かりません。

頭が真っ白になる経験、たびたびあります。
・タスクが一気に降りかかったとき
・必要な記憶が思い出せないとき
・行動の前提が大きく崩れた時
などでしょうか。
これはプチパニックでしょうかね。

また、症状が強く出て、
どこに行っても変わらずに、
逃げ場がなくて、
ずっと苦しい。
とにかく逃げたい。
そんなときもパニックでしょうか。

でも、僕はこんな時にも、ある程度考えることができていると思うのです。

だから、全く考えることができなくなって、
何をどうしてよいかわからず、
その場にうずくまってしまうような体験はないように思います。

なので完全なパニック体験ではないかもしれませんが、ご紹介します。

学校の帰り道にパニックになった話。

改めてお伝えすると、
僕は幻聴妄想が日常的に出るタイプで、
13年経つ今でも変わらない、
いわゆる慢性化してしまった当事者です。

幻聴妄想の内容は被害的で、
悪口、陰口、他人が僕に対して悪い思いを抱いているというようなものです。

なので、駅、公共交通機関、繁華街、ショッピングモール、学校、職場
のような、多くの人と触れる場はとても辛いのです。

必ず、悪口陰口を聞きます。

信頼している人でも、友人でもそれは変わらず、
人間不信です。

さて、そんな僕が、専門学校に通っていたある日のことです。

専門学校に通っていたある日

僕は、体調が悪く、たびたび登校する形でした。

その日は登校の日で、電車とバスで登校、

少人数ながら他の学生と授業を受けます。

また幻聴が聞こえだしました。

授業は何とか我慢しましたが、
数々の悪口に僕は限界でした。

バタバタと帰り支度をして、駅に向かいます。

バスを待っても良いですが、
バスは苦手です。

密室で、人との距離が近く、それなりに人も乗るため、幻聴がひどくなるのです。

少し遠いですが、歩いて駅に向かいます。

ちらほら人が歩いていますが、こちらの方がましだろう。

しかし、その期待は裏切られます。

すれ違う人、
信号を待つ他の人、
自転車に乗る人、
声の届きそうなすべての人が僕の悪気口を言います。

彼らを見ると必ず目線がこちらを向いています。
目が合うのです。

しまいには対向車線側の歩道に居る人たちもこちらを見ていました。

いや、見えるはずないと今では思うのですが、
拡大鏡を使うように、顔の向きと目線をしっかり確認しました。

ソラ
ソラ

街中が僕の存在を否定している――。

どこに行っても、いくら歩いても、状況は変わりませんでした。

すれ違いざまの悪口。
遠くで僕の悪口を楽しそうに話す学生。
惨めな状態の僕を観察する目線。

生き地獄とはこのことかと思いました。

僕は泣きながら、
それでも声を出すことは避けて、
足早に駅に向かいました。

どうしてよいのか、
どこに逃げたらいいのか、
自宅まではまだまだ時間がかかる。
歩くしかない。

目的地が定まっている分、
僕の行動ははっきりしていましたが、
頭はパニックです。

何とか帰宅しました。

この時の強烈な辛さを僕は忘れることはないと思います。

パニックの対処法

パニック経験の薄い僕ですが、
それなりにあたふたとしてしまうことはよくあります。

パニックとは違うかもしれませんが、
何か辛い経験に捕らわれて、
ずっと自問自答、不安でしょうがないということも良くあります。

そんな時僕はどうするかと言うと。

まず第一に深呼吸。

①深呼吸

まず、限界まで息を吐きます。

そしたら7秒かけて限界まで吸います。

吸ったら2秒くらい吐くのを我慢して、

10秒くらいかけて息を吐きます。

これを何度か繰り返します。

だんだんと深く吸って、深くはけるようになるので、

10秒吸って、20秒吐きます。

20秒吐くのは慣れがいると思います。

鼻と口どちらでやるかは気分です。

必ずどちらかにします。

吸うときは、お腹を広げて、胸を広げるように。

吐くときは、小さく小さく、ゆっくり広げたお腹から胸まで縮めます。

少し落ち着くはずです。

②適した頓服

パニックならその薬があるでしょうし、

僕の場合、思考と幻覚妄想が原因の場合は抗精神病薬の頓服を、

不安感が問題なら抗不安薬を服薬します。

30分後の自分への布石ですが、
飲んだ時からなんだか変わる気がするのです。

プラシーボでも何でもよいと思います。

楽になるなら。

③最初の目的をパッと決める

パニックの時は、まず何に目的にするか、決めるとよいです。

僕の例だと駅に歩くことでした。

複雑なタスクでも手近な目的を目指します。

動き出すと見えてくるんですよね。

タスクに関連しなくても、次の行動を目的にして良いと思います。

④飲み物を飲む

温かいお茶や白湯、常温の水などを飲みます。

ちょっとほっと一息つきます。

コーヒーは効果的な時と、逆効果の時があります。

カフェインが強いので、頭痛の時などは避けます。

でも、基本的には良い気がするんですよね。

⑤走る

できるときが限られますが、
走るのも効果的です。

走りながら思考を捨てていきます。

帰り道、きっと建設的な思考を取り戻せます。

しんどいですが、
しんどいことが効果的なので、
走ります。

いろいろとごちゃごちゃしている頭を酸欠にしてやります。

⑥ちょっとだけでも一人になる

刺激を避けて少しでも一人になります。

別の空間に行くことが大切です。

⑦イヤホンで音楽を聴く

好きな音楽を聴いて、タスクに戻りましょうか。

気分に合った曲を用意するといいと思いますよ。

落ち着いて、目標を定めて、思考をほぐして、音楽でも聴いて

パニックの時は、
わあああとどうしてよいかわからなくなります。

この時は、決まった行動のセットを用意して、その通りに行動するとよいと思います。

自動的にそのセットをこなします。

深呼吸で呼吸と思考、行動をリセットして、
薬を飲んで、
今できる対処をパッと決めて、
落ち着いて、
思考をほぐして、
ちょっといい気分に自分を向けて、
さあ、もどろっか。

やれることをやってもダメなら逃げる

深呼吸をして、薬を飲んで、他に選択肢がないなどで、
どうにもならない時は、

とにかく逃げて

一旦いろんなものを置いて、
逃げてよし。

安心な場所を確保して。

仕事だって体調が悪ければ休んでいいし、

帰り道なら走ってよし。

安心な場所に最短距離で!