
統合失調症の大まかな解説をしていくよ。
ざっくり全体像を見ていこう
統合失調症の症状

陽性症状
幻覚や妄想といった特徴的な症状。
統合失調症の代表的な症状というと陽性症状が挙げられます。
病前なかったものがプラスされるという意味で陽性症状と言います。
・幻覚(幻視、幻聴、体感幻覚など)
・妄想(被害妄想など)
・支離滅裂(考えが飛躍するなど)
幻覚のうちの幻聴では、
悪口陰口を言われたように感じたり、
行動を逐次報告するような言葉が聞こえたり、
ざわざわ音など、
不快な声や音が聞こえてきます。
幻覚は幻とつくので区別がつくのではと思われがちですが、
かなりリアルで僕にとっては現実そのものです。
妄想では、
幻視(スナイパーがいるなど)や幻聴(悪口や監視)を元に、
現実とは違った解釈をしてしまったり、
少し突飛なひらめきや物事のつながりから、
現実とかけ離れた事柄を信じてしまう。
誰しもが少しはあることですが、
その妄想に強烈な確信感がわきます。
「これは真実だ!」
陰性症状
陽性症状と比べあまり目立ちませんが、
僕個人的にとても生活に影響を及ぼす症状です。
陽性症状は短い時間なら堪えられますが、
陰性症状は継続的に症状が出るため、
生活そのものの基礎から影響が出ます。
具体的な症状は、
・意欲減退(行動意欲が出なくなる。力が出ない)
・感情鈍麻(感情が鈍くなる出ない)
・自閉(引きこもる)
などが挙げられます。
僕個人の認識としては、今回挙げた順番で陰性症状が重たくなっていくという認識です。
意欲減退から重たくなると感情鈍麻、さらに重たくなると自閉という形です。
感覚的には地続きの同じ症状で、加えると自閉は症状ではなく状態です。
陰性症状で動けなくなると自閉(引きこもり)という状態になるという認識です。
・体力の低下
症状かと言われるとそうでもないのですが、
活動時間の低下、運動能力の低下、外に出ない、動く力が出ない、
など症状と二次的な影響の組み合わせで体力が落ちてしまいます。
また、精神的体力も落ちてしまいます。
例えば、
集中力の低下、思考がまとまらない、幻聴や妄想などの思考で疲れる、
などの影響で実際には精神的体力が落ちてしまいます。
これらのことから、
一日中ベッドで過ごしたり、
活動時間が短かったり、
勤務時間に制限が出たりなど、
生活に大きな影響が出ます。
認知機能障害
自分のことだから(当事者だから)言えることですが、
簡単に言えば頭が悪くなります。
(配慮に乏しくすみません…。)
ただ、もちろんその人その人で症状の重さは違いますし、
ほぼ感じないという人も居ると思います。
また、そこからさらに傍から見るとなると全然わからないということもあると思います。
影響の出る部分として、
・記憶力
・思考力
・判断力
・理解力
などが挙げられます。
僕個人の話をすると、
特に短期的記憶力に影響が出ていると検査でわかりました。
また、肌感では挙げた四つはどれも能力が落ちています。
僕は病前、学力がある方だったので、
その能力の落ち込みに悲しくなる時期が長くありました。
また、認知機能障害は前駆期(発病の前兆の期間。僕としてはすでに発病している)にも、
この症状が出ると言われています。
僕は、中学三年の後半で一度、
高校に上がった春に一度、
能力がガクッと落ちたのをはっきり感じました。

今までと違う…。
授業が理解しにくい。
頭が重たい。
僕はショックを受けました。
もちろん学ぶ内容のレベルが上がったことも理由の一つだと思いますが、
体の感覚として変わったことをはっきり自覚しました。
よく一目ぼれで電流が走ったと言いますが、
同じような体感だと思います。
そして、その高校1年の秋に発病をしました。
僕は中学3年の後半からすでに統合失調症が始まっていたと考えています。

前駆期から統合失調症を発見できれば、
もっと経過はよくなるかもしれない。
統合失調症と診断できなくても、治療を受けることができたら違うと思うな。

もっとメンタルクリニックのハードルが落ちるといいのだけれど。
現状そのような治療薬はありませんが、
認知機能障害への効果を期待する治療薬の開発が進んでいるようです。
僕の頭の回る感覚が戻ってくることを本当に待ち望んでいます。

認知機能障害の体感を表現するなら、
脳の周りに膜が張っていて、
頭が重たい。鈍い。
頭が回らないことがわかるんだ。
統合失調症はどんな病気?もっと詳しく

もう少し詳しく統合失調症の概要を見ていきます。
発症率
人口の約1%の人がどの時代においても、どの地域でも発病します。(若干のブレはあります)
100人に1人の確率です。
学校でいえば、2つのクラスに1人というくらいでしょうか。
珍しくはなく、知らないだけで身近な病気です。
ただ、健常者が生活する中で出会うことは稀なので、
事前知識なく発病し、悪化してしまう怖さがあります。
大切な知識なので、広めていきたい。
発症年齢
発症年齢は、10代から30代にかけてが多く、やや男性の方が若く発症します。
あくまで平均値であり、様々です。
高齢で発病するケースもあります。
ちなみに僕は16歳で発病しています。
学生時代に発病するケースも多く、
学業を中途半端に離脱せざる終えないパターンも多いです。
そのため、人生に大きな影響を及ぼします。
僕的には、
統合失調症の中では大学卒業を卒業し、社会人で厚生年金に加入してから発病したパターンの方は、
学歴を得ており、障がい厚生年金を受給できるため、羨ましい気持ちがあります。
もちろん仲間です。
高校を出れずに引きこもってしまったり、
国民年金に加入しなかったため、障害年金を受給できないパターンの方もいます。

みんな大変だよね。
比べることより、今自分に何ができるか。
どうするべきタイミングか一緒に考えていこう。

休むこと、
絶望することが必要な時期だってあるんだ。
僕は、それらは大きな前進だと思っています。
統合失調症は心の病気じゃなく脳の病気なんだよね…。
統合失調症は、脳に障害が発生しており、それが精神(この表現は脳の働きを含んでいる)や心(とてもあいまいな表現..。)、体に影響が出ているんだ。
なので、脳の病気と言っても正しいし、精神の病と言っても正しいし、心の病と言っても正しいし、体の病ともいえるかもしれない。
ただ、原因はと聞かれれば、脳。
どこに障害があるのと聞かれても、脳や精神。
どこに影響が出てるのと聞かれてやっと精神や、心と言える。
どこが源流なのか考えれば、精神疾患は脳の病というのが一番適切。
また、状態で考えるなら精神疾患(精神病)というのもまた適切だと思う。
ただ、心の病は違うねん!
分かりやすくしよう。
風邪に例えると、
原因をとらえてウイルスの病気というのが脳の病気という表現。
熱が出て、鼻水が出て、咳が出るというのをまとめて風邪というのが精神疾患という表現。
一部の症状例えば「鼻水」というのが心の病という表現。
心は脳の働きの一部にすぎす、また一番最後の表層です。
鼻水というのは風邪の一部に過ぎず、適切な表現とは言えませんよね。
精神=心というのは言い換えとしてわかりますが、安直ですし、優しくもない。
こころの○○クリニックよくありますが。
違うんだよなー。
「心に病を抱えている」って語弊がありませんか?
発症要因
遺伝も関係がありますが、環境要因も大きく影響します。
ゴッデスマンの研究によると、
自然発症が1%の発症率、
片親が統合失調症で6%の発症率、
両親が統合失調症で14%の発症率です。
(当事者同士で結婚することが多いですが、申し訳なくもありつつ、受け止めてほしい現実でもあります。)
そのほかの要因が環境要因などということになります。
完全に遺伝とは言えませんし、
両親が統合失調症でも残りの86%は発病しません。
統合失調症をどう発病するのか、
一つ有力な仮説として「ストレス脆弱性モデル」というものがあります。
これは、遺伝的要素で基礎のポイントがあり、
環境要因やストレスなどでポイントが積まれていき、
ある一定の閾値、あるポイントに達したときに発病するという仮説です。
僕と周りの方含め、一般的に言われていること含め、
発病の際には大きなストレスがかかっており、
素養と環境で合わせて発病するという考え方は感覚とマッチします。
発病のタイミングは、
ライフステージが変るタイミングが多いと言われますが、
これはそこで大きなストレスがかかることが多いからです。
学生時代から新人社会人で発病しやすいのもうなずけます。
統合失調症の薬「抗精神病薬」
統合失調症には「抗精神病薬」という薬が使われます。
これは、原因を突き止め、そこに対して作用することを狙った薬ではなく、
経験則上効果があるため使われ、後でその効果が理論的にわかるようになってきたという薬です。
その効果の仕組みは「ドーパミン仮説」という説があります。
これは統合失調症の原因を説明する際に、幻聴などの理由としても用いられます。
ドーパミン:
1.報酬系と快感・多幸感、意欲
2.運動の調節
3.学習と記憶、認知機能
を調節する脳内物質
このドーパミンが過剰に作られる、もしくはそれを受け止める受容体が多い
という理由で統合失調症の症状が発生するのではという仮説でした。
そして、抗精神病薬は、ドーパミンを邪魔することで陽性症状に効果が出ていると。
ただし、陰性症状について説明できなかったことなど不十分な点がありました。
のちにドーパミンが過剰に分泌されていることが分かりました。
このドーパミンのみに働きかけるというのが定型抗精神病薬(昔からある薬)です。
ただ、問題もありました。
陽性症状に抜群に効くのですが、陰性症状(体を動かす力が出ない)などが悪化してしまうケースがあったのです。
これは、逆にドーパミンが不足している脳の部位にも働くことで、
ドーパミンがさらに不足し、
陰性症状が悪化していました。
そこに対策を施したのが「非定型抗精神病薬」です。
これは、ドーパミンが不足している部位に対し、
ドーパミンの効果を邪魔するセロトニンを邪魔することで、
間接的にドーパミンの効果を持ち上げようというものです。
定型とは別の作用機序を持つため、非定型抗精神病薬と呼ばれます。
リスペリドンが最初に生まれ、同じ作用機序のもとに様々な薬が生まれました。
しかし、同じ作用機序と言えど、どの薬がその当事者に合っているのか様々です。
副作用が出やすい人は、様々な薬を試し、合う薬を探すことになります。
どの薬が合うかは人それぞれなので、

この薬めっちゃいい!
おススメ!
などの意見は参考になりません。
僕は副作用が出やすい方ですが、時に地獄です。
・嘔吐
・アカシジア(体が落ち着かず、そわそわ。椅子くるくる)
・うろうろ
・太る・痩せる
・眠れない・過眠・眠い
などなど、様々です。
嘔吐とアカシジアは特につらかったです。
日々、新しい薬を頭の良い方々が力と時間を使って僕らのために開発してくれています。
薬が合わないのは本当につらいですが、
いい薬ができるかもしれません。
僕の場合は、時間が解決しました。
10年経ってやっと体が薬に慣れてきたようです。
昔試してダメだった薬が許容範囲の副作用で収まるようになりました。
つらいかもしれないけど、時間が解決することもあります。
病気を知ることは克服の大きな一歩

ということで、いかがでしたでしょうか?
ざっくりと言いつつ、だいぶ詳しく書いてしまいました。
統合失調症について全体像を知れたと思いますが、
自分の病気を知ること、
自分の状態に名前を付けること、理解することは克服への大きな一歩です。
自分に何が起きているかまた、
その別け方を知り、
一つ一つに自分なりの対処を探していきます。
そのお手伝いになれば幸いです。
まだまだ、お伝えしたいことありますし、
今回の内容を掘り下げることもしていきます。
気に入ったらブックマークをぜひ!
コミュニティもやっていますので、気になる方はリンク画像をクリック!


作用機序周辺の解説に誤りがありました。
すみませんでした。
訂正し、お詫び申し上げます。