抗精神病薬の死亡リスクについて
https://www.carenet.com/news/general/carenet/60970
抗精神病薬による統合失調症患者の死亡リスクを比較:CareNet
・パリペリドンとリスペリドンの2つの長時間作用型注射剤(LAI)では、パリペリドンLAIの死亡リスクがより低かった。
・オランザピン、クエチアピン、リスペリドン、アリピプラゾール、amisulprideは、ベルフェナジンと比較し、死亡リスクが低かった。
・抗精神病薬レジメン分析では、クロザピンまたはLAI抗精神病薬を含む多剤併用レジメンは、FGA経口単剤療法と比較し、死亡リスクの低下が認められた。
・FGA-LAI単剤療法、各抗精神病薬の多剤併用療法、クロザピンを含まない経口抗精神病薬の多剤併用療法は、すべての原因による死亡リスクおよび自然死リスクの上昇との関連が認められた。
著者らは「各抗精神病薬およびレジメンにより、死亡リスクは異なっている。クロザピンおよびLAI抗精神病薬が超過死亡リスクの軽減において重要な役割を果たしていることが確認された。本研究結果は、統合失調症患者の精神的および身体的アウトカムを最適化するために、クロザピンおよびLAI抗精神病薬への早期アクセスを確保することの重要性を示唆している」としている。
各抗精神病薬によって死亡リスクは異なり、多剤併用よりも単剤での治療が死亡リスクが少ないそうです。

僕は2種類をつかっています..。
また、クロザピンおよびLAI抗精神病薬が超過死亡リスクの軽減につながるとのことです。
クロザピンは使用当初に入院や集中的な管理が必要なため、
使用のハードルが高いですが、有効なのですね。
また、LAI抗精神病薬が有効とのことですが、
単剤であればこちらの方がハードルが低そうです。
LAI抗精神病薬とは?
Long Acting Injection(持続性注射剤)の略で、統合失調症などの精神疾患の治療に用いられる、薬の効果が長く続く注射剤のことです。
中枢コリン作動系統合失調症に関与か
https://www.carenet.com/news/general/carenet/60973
統合失調症における中枢コリン作動系の変化 :CareNet
統合失調症では、コリン作動系のさまざまな変化がみられることが報告されている。
カナダ・オタワ大学のZacharie Saint-Georges氏らは、統合失調症およびまたは統合失調感情障害における中枢コリン作動系に関するイメージング研究および剖検研究についてのシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。
約74%において、統合失調症およびまたは統合失調感情障害における中枢コリン作動系の変化が報告されていた。
著者らは「イメージング研究および剖検研究の両方で、統合失調症患者におけるムスカリン受容体およびニコチン受容体の広範な低下が明らかとなった。メタ解析では、線条体、海馬、前頭帯状皮質におけるM1/M4ムスカリン受容体の低下による大〜中程度の影響が認められた」と結論付けている。
中枢コリン作動系
中枢コリン作動系(Central Cholinergic System)とは、脳や脊髄といった中枢神経系において、神経伝達物質であるアセチルコリン (ACh) を介して情報伝達を行う神経系の総称です。
中枢コリン作動系は、主に以下のような機能に関与しています。
- 認知機能: 記憶、学習、注意、集中力など、高次脳機能の重要な役割を担っています。
- 覚醒と睡眠: 覚醒状態の維持やレム睡眠の調節に関わります。
- 運動制御: 大脳基底核などと連携し、運動の円滑な実行に関与します。
- 情動: 気分や感情の調節にも関与すると考えられています。
- 神経免疫連関: 脳と免疫系の間の情報伝達にも重要な役割を果たすことが示唆されています。
統合失調症において: 認知機能障害や陰性症状にコリン作動系の機能不全が関与している可能性が示唆されています。

認知機能障害や陰性症状にコリン作動系の機能不全が関与している可能性が示唆されている中枢コリン作動系において、機能の低下と影響がみられた。
陰性症状におけるコリン作動薬の有用性
上記のコリン作動系に作用する薬剤の使用で陰性症状に効果が視られるとのことです。
https://www.carenet.com/news/general/carenet/60839
統合失調症に対するコリン作動薬の有用性~RCTメタ解析:CareNet
インド・All India Institute of Medical SciencesのAmiya Shaju氏らは、統合失調症に対するコリン作動薬の有効性および安全性を評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。
著者らは「コリン作動薬は陰性症状を改善し、ムスカリン作動薬は症状全体および重症度の改善に有効であり、安全性においてもプラセボと比較し、有害事象の大きな差は認められなかった」と結論付けている。
なかなか良さそうですが、今後の進展が待たれます。
コンビニ3人死傷事件“統合失調症”無罪主張の45歳被告の男に懲役30年の実刑判決 元裁判官の弁護士「不当な差別偏見になってもいけない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f20062e656bbe953c2af244e5296db9e0b0983f
コンビニ3人死傷事件“統合失調症”無罪主張の45歳被告の男に懲役30年の実刑判決 元裁判官の弁護士「不当な差別偏見になってもいけない」:北海道放送(株)(yahooニュース)
札幌地裁は7月2日、被告の男に有期刑では最も重い、懲役30年の実刑判決を言い渡しました。
事件は2024年2月に起きました。警察官に抵抗を続ける男が、宮西浩隆被告45歳です。 札幌市北区のコンビニで当時40歳の社員の男性をナイフで突き刺すなどして殺害、店員2人にも大けがをさせた殺人などの罪に問われています。
・裁判長 「主文、被告人を懲役30年に処する」 札幌地裁は、宮西被告に求刑どおり懲役30年の実刑判決を、言い渡しました。 その瞬間、宮西被告は座ったまま身動きすることもありませんでした。 判決で札幌地裁は、被告が犯行前にためらう気持ちもあり人を刺すことが悪いことだと理解していた、などとして「心神耗弱」の状態だったと認定。 ほかの事例から見ても無期懲役に相当する。 心神耗弱によって減刑したが、有期刑の上限から減らす事情はないと理由を述べました。
●札幌地裁 【宮西被告について】
▽犯行前にためらう気持ちがあり ▽人を刺すことが悪いことだと理解もしていた
このため、犯行を踏みとどまる力はあったが、妄想の力の方が強かった、として「心神耗弱」と認定しました。
【量刑について】
▽無差別的な犯行 ▽人命を軽視したこと などを挙げ、本来は無期懲役が相当とも言及。 心神耗弱で有期刑に減じたが、上限から減らす事情は見当たらないと厳しく指摘し、懲役30年の判決を言い渡しました。
事件における統合失調症の影響を認めつつ、
それでも踏みとどまることのできる力を持っていたと判断され、
「心神喪失」状態だったと無罪にするのではなく、
「心神耗弱」の減刑とされました。
個人的には納得のいく量刑だと思いますし、
統合失調症=妄想によって自分をコントロールできず、また、攻撃的な行動に出るもの。
統合失調症=心神喪失で無罪
という統合失調症に対しての偏見につながるメッセージが今回は否定されていると感じます。
ほとんどの統合失調症や精神疾患の方は比較的内向的な方が多い印象ですし、
犯罪率も実は低いと認識しています。
健常者、障害者関わらず、事件は起きるし起こすものなので、
病気かそうでないかで判断せず、
また、病気であっても自分でしっかり判断して生活している人がほとんどであると伝わっていってほしいです。